講習会の報告（社会的価値評価の適用と課題 –SROIを事例として-）
当委員会では、市民参加型計画や市民活動の評価に着目し、参加型計画の直接・間接効果を幅広く把握するため、ＳＲＯＩ（社会的投資収益率）の考え方を適用して、我々が関わる参加型計画の評価を試みてきました。今回はこれまでのとりまとめとして、平成29年9月4日に、建設コンサルタンツ協会会員を対象にSROIを事例とした「社会的価値評価の適用と課題」に関する講習会を実施し、①住民参加活動等の事例評価を試行した成果、②建設コンサルタントに求められる技術的支援内容についての検討成果を報告しました。また、関西大学商学部の馬場英朗教授に「社会的価値評価におけるSROIの意義」と題して講演をいただきました。以下に実施概要を報告いたします。
第１部のテキストは以下のURLからダウンロードできます（建設コンサルタンツ協会会員のみ）
http://wwww.jcca.or.jp/member/committee/seminar/archives/171011/tec.html
第1部
１．SROIとは
社会的価値評価の代表的な手法であるSROIについて、社会的価値評価とSROIの大まかな説明を行った。社会的価値評価の基本事項について説明するとともに、SROIの経緯と事例、分析を進めていく上での６つのプロセスと７つの原則について説明した。
２．事例研究シーニックカフェちゅうるい
市民活動事例として取り上げた「シーニックカフェちゅうるい事業」へのＳＲＯＩ評価の試行について、経緯、実施状況、評価の内容、得られた知見について具体的な説明を行った。
３．SROIの導入事例と建設コンサルタント業務への導入可能性
国内におけるSROIの導入事例を整理するとともに、道路計画、バリアフリー計画、津波防災計画について、インパクトマップを作成するなど、建設コンサルタント業務への適用可能性を検討した。
４．評価指標について
既往のSROI評価事例から評価指標の整理を行うとともに、市民参加型プロジェクトにおいて想定されるアウトカムに対する評価指標を整理した。また、最終アウトカムの一つの要素となるケースが多い「幸福度」について、貨幣換算方法の検討と試算を試みた。
５．参加型計画への適用と課題
参加型計画のタイプ、手法、目的、評価の主体によるＳＲＯＩの適用性と、ＳＲＯＩのタイプ（評価型、予測型）による参加型計画への適用について、提案も含めたとりまとめを説明するとともに、現状での適用の課題を挙げた。
第2部 社会的価値評価におけるSROIの意義（関西大学商学部 馬場英朗教授）
社会的インパクト評価が政策分野でどのように活用されているのか、その中でSROIがどのように位置づけられているかについてわかりやすく解説をいただいた。
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